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1998年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「誠意のない事故の加害者-示談が無理なら調停で」神戸新聞 1998年12月4日掲載

執筆者:阪本 豊起弁護士

今回は交通事故で負傷した相談者です。相手方に誠意がなく賠償の話が進まないと憤慨しています。

弁護士:それで相手方はどう言っているの。

相談者:「任意の保険には入っていない。金もない。いくら弁償すればよいのか分からないが、生活に余裕ができたらわずかずつでも支払うよ」と人をばかにした態度で、まともな話し合いになりません。

弁護士:まずこちらが相手に何が請求できるかを押さえなければならないな。

相談者:どういったものを請求できるのですか。

弁護士:まず治療費、負傷により就業できなくなったことの休業損害、通院の交通費、慰謝料などを請求できる。事故の原因についてこちらに過失があれば過失割合で減額されるよ。

相談者:でも相手方は私が請求を持ち出す間も与えず、とにかく取り合ってくれないのです。

弁護士:当事者で話し合うことができないんだね。

相談者:そうなんです。仮に話し合えても過失割合や損害の認定について意見が衝突してどうしようもなくなるような気がします。

弁護士:それなら私があなたの代理人として交渉しようか。

相談者:もし先生に対しても話し合いに応じなければどうするんですか。

弁護士:調停の申し立てをしようと思う。被害者と加害者側(保険会社を含む)との間で示談が成立しない場合は、被害者からも裁判所に調停の申し立てをすることができるからね。

相談者:調停でまとまっても相手は支払ってくれるでしょうか。

弁護士:調停で合意が成立し、調停調書が作成されると確定判決と同一の効力があるので、加害者の財産に強制執行ができるよ。

相談者:しかし、調停でもまとまらなかったら…。

弁護士:その場合は損害賠償の裁判を起こすしかない。相手方が応じなくても、裁判官が判決を出してくれるからね。