アーカイブス

このページは旧サイトに掲載されていた記事のアーカイブです。

くらしの法律相談

HOME > くらしの法律相談(1997年-2007年) > 2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談 > 「前納金の返還-入学辞退の際は請求を」神戸新聞 2004年9月21日掲載

2004年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

≪2004年掲載一覧へ戻る

「前納金の返還-入学辞退の際は請求を」神戸新聞 2004年9月21日掲載

執筆者:中村 聡弁護士

Q:高校3年生の息子は来春、複数の大学を受験する予定です。合格しても指定日までに入学金や授業料などを納めなければ入学資格を失ってしまうので、合格した場合、いくつかの大学にそれらを納めることになると思います。一度納めると入学を辞退しても返してもらえないのでしょうか。

A:ごく最近まで大学は、入学金や授業料などを一切返還していませんでした。このような取り扱いは、各大学の学則で定められており、募集要項などであらかじめ受験生に明示されているため、入学辞退者が、大学に対して入学金などの返還を請求することは極めてまれで、皆があきらめていたという状況でした。

ところが、2001年4月1日の消費者契約法施行以来、入学辞退者から大学に対する入学金などの返還請求訴訟が、相次いで提起されています。既に第一審判決が出ているものもありますが、依然係争中であり、決着をみるまでにはまだしばらく時間がかかりそうです。

しかしながら、02年に文部科学省より大学に対し、入学手続き時の納付金の取り扱いについての通知がなされました。また、前記の第一審判決の多くが、入学金以外の授業料等前納金については返還すべきとの判断を示したことから、ここ一、二年は、多くの大学が入学金以外の授業料等前納金については返還するように方針転換したようです。

では、入学金についてはどうかというと、前記の第一審判決が返還を認めなかったこともあってか、ごく一部の大学を除いて、いまだ返還に応じるには至っていないようです。一日も早く入学金の返還を認める判決が出ることが、待ち望まれるところです。
ただ、多くの受験生による返還請求という行動が、入学金以外の授業料などの返還についての大学側の対応に変化をもたらした大きな要因であることは、間違いがありません。ですから、入学金についてもあきらめることなく大学側に返還を求めることが重要であると思われます。まずは新学期が始まるまでに、つまり3月中に内容証明郵便を使って、大学に対して入学金の返還を求めておくべきでしょう。