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2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「家賃差し押さえ-アパート債権者への明け渡しに猶予期間」神戸新聞 2005年4月19日掲載

執筆者:西部 智子弁護士

Q:私はアパートを借りて住んでいますが、裁判所から、家主の債権者が家賃を差し押さえたという書類が届けられました。今後、家賃をどう支払えばよいのでしょうか? また、家主がアパート自体を抵当に入れていて、仮に債権者によって競売されたら、住めなくなるのでしょうか?

A:差し押さえの結果、あなたは家主への家賃の弁済ができなくなり、家主の債権者から取り立てがあれば、家主の債権者へ支払うことになります。

仮に差し押さえ後、あなたが家主に家賃を支払ったとしても、結局、家主の債権者に支払わなければならないことになりますから、注意してください。なお、特に取り立てなどがない場合でも、供託所へ家賃を供託することができます。

また、あなたのケースでアパートに住み続けることができるかという質問ですが、(1)あなたが家主と賃貸借契約をして住み始めた時期(2)一番早く設定された抵当権が登記された時期-の二点次第で結論が異なります。(1)が(2)以前の場合は続けて住むことが可能です。

(1)が(2)以降の場合ですが、(1)の時期が2004年4月1日よりも前で、さらに賃貸借期間が3年以内の契約である場合は、賃貸借期間内は住み続けることができます。賃貸借期間の定めがない場合には、買い受け人によって解約申し入れがされてから6カ月間住み続けることができます。

その他の場合、主に2004年4月1日以降に賃貸借契約を結んだケースですが、買い受け人が競売代金を納めてから6カ月間は明け渡しが猶予されます。もっとも、この場合でも、買い受け人が1カ月分以上の家賃相当額の支払いを請求してきたのに、支払期限内に支払わない場合には明け渡さなければならないことになるので注意が必要です。