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2006年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「容疑者の処遇-まず弁護士会に相談を」神戸新聞 2006年10月3日掲載

執筆者:小林 真由美弁護士

Q:けんかで21歳の息子が相手にけがを負わせたので逮捕したと、警察から連絡がありました。息子は、家に戻ってくることができるか、今後どうなるのか心配です。また、弁護士を頼んだほうが良いのでしょうか?頼むにしても、知り合いに弁護士がおらず、どうすれば良いでしょうか。

A:息子さんは、容疑者として警察の留置場に留置され、取り調べを受けていると思われます。警察は、逮捕から48時間以内に容疑者を検察官に送ることになっています。容疑者を受け取った検察官は、24時間以内に容疑者を釈放するか、あるいは裁判官に対し容疑者を拘置するよう請求します。裁判官の判断により、この請求が認められると10日間、延長されるとさらに長くて10日間の身柄拘束が続きます。この期間満了までに、不起訴となって釈放されるか、あるいは起訴されるかが決まります。

息子さんの場合、まず本当に相手の人にけがを負わせたのかなどの事情を確かめる必要があります。そして、けがを負わせた場合は、けんかの状況、けがの程度、被害者の対応などによって、今後の処分が決まることになると思います。

弁護士は、弁護人として、このような刑事手続きの中で、種々の制度を活用して、容疑者の釈放に向けて働き掛けをしたり、真実が歪められないように容疑者を援助します。また、身柄拘束中、面会が制限されている場合でも、弁護人なら立会人なく自由に面会できます。こうした弁護人の援助を受けるために、容疑者には弁護人を選任する権利が与えられています。息子さんの正当な利益を守るためには弁護人を選任したほうが良いと思います。

このため弁護士会では、容疑者やその家族からの申し出により、待機中の弁護士が速やかに身柄拘束中の容疑者に面会に行くという当番弁護士の制度を設けています。この当番弁護士を弁護人に選任することもできます。まず弁護士会に相談してみてください。

なお、従来、国が弁護人を付すという国選弁護制度は、起訴後に限られていましたが、2006年10月からは、一定の事件には起訴前にも保障され、2009年にはその範囲が拡張される予定です。