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2006年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「貸金返還請求訴訟の相談先-裁判で求める金額が目安に」神戸新聞 2006年12月19日掲載

執筆者:中西 康友弁護士

Q:知人に150万円を貸したのですが、返してくれません。裁判をするにあたって専門家に相談したいのですが、弁護士、司法書士、税理士、行政書士など、どの専門家に相談すればいいのか分かりません。教えてください。

A:あなたの場合、知人と金銭消費貸借契約(民法587条)を締結したことになりますので、その契約に基づき、知人を相手に貸金返還請求訴訟を起こすことになります。では、どの専門家に相談したらよいでしょうか。

まず、弁護士の職務は、法律相談、示談交渉、裁判で代理人となること(訴訟代理)など法律事務全般に及びますので、法律に関する事柄であればどんなことでも弁護士に相談できます。しかし、事案によっては、弁護士以外の法律専門職に相談できる場合もあります。

例えば、税理士は、その名称が示している通り、税法や租税に関する事項の専門家です。税法が問題となる事案であれば、税理士に相談できるでしょう。

また、行政書士は、許認可の申請書など官公署に提出する書類や遺言書、契約書など権利義務、あるいは事実証明に関する書類を作成したり、その作成の相談に応じることを主な業務としています。

司法書士は、登記・供託手続の代理や、法務局・裁判所に提出する書類を作成したり、その作成の相談に応じたりすることを主な業務としていますが、さらにこのほど法改正により、訴額(裁判で求める金額)が140万円を超えない場合、司法書士にも簡易裁判所での訴訟代理や、法律相談に応じることが認められました(ただし、所定の研修を修了して法務大臣の認定を受けた司法書士に限ります)。

つまり、訴額が140万円を超えない範囲であれば、弁護士も、認定を受けた司法書士もその基本的な権限はあまり変わりがありません。しかし、訴額が140万円を超える場合、司法書士が裁判で代理人になったり、法律相談に応じたりすることは認められません。

従って、裁判を視野に入れた相談をする場合、弁護士か認定を受けた司法書士に相談します。本件では、訴額が140万円を超えるので、弁護士に相談することになります。