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2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「遺言執行者の指定-事前の就任受諾が大切」神戸新聞 2007年7月17日掲載

執筆者:田村 貴司弁護士

Q:2人の子どものために遺言を書いてやろうと思っています。ただ妻はもう亡くなっており、私が死亡した場合、遺言通りに財産を分けてもらえるのか、不安です。事前に第三者に遺言通りに財産を分けてもらえるよう、お願いしておくことはできるのでしょうか。

A:遺言者は遺言で1人又は数人の遺言執行者を自ら指定するか、その指定を第三者に委託することができます(民法第1006条第1項)。相談者は事前に第三者にお願いしたいとのことですから、遺言で遺言執行者を指定すれば第三者に遺言通りに財産を分けてもらえます。

遺言執行者になるのに大きな資格制限はありません。法人も遺言執行者になれます。ただし、遺言の効力発生時、すなわち遺言者の死亡時に、未成年者だったり、破産者であったりしたときは遺言執行者になる資格がありません。

遺言執行者を指定した遺言は遺言者の死亡により効力を生じますが、これによって指定された人物が当然遺言執行者に就任しなければならないものではなく、指定された人物の意思によって、就任するか辞退するかを決定することができます。そこで、相談者は事前に遺言執行者として指定する第三者に対して遺言執行者に就任することを受託してくれるようお願いしておくことが大切です。

遺言執行者の指定について注意すべきことは、遺言者が遺言書の全文、日付、および名前を自書し押印した「自筆証書遺言」であれ、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で述べてこれを公証人が公正証書として作成した「公正証書遺言」であれ、必ず決まった形や書き方の遺言書で遺言執行者が指定されていることが必要です。

相談者が生前に口頭や遺言書とはいえない遺書で遺言執行者を指定しても、その人物に遺言執行者になる資格はありません。遺言書の書き方などについては兵庫県弁護士会の総合法律センターにご相談下さい。