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くらしの法律相談(2008年-2016年)

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2009年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

弟が傷害事件の加害者に-被疑者にも国選弁護人可能 神戸新聞 2009年5月19日掲載

執筆者:金子 敬之弁護士

Q:弟が傷害事件の被疑者として逮捕されました。
被害者との示談交渉を依頼したいのですが、起訴される前でも国選弁護人をつけてもらうことは
できるのでしょうか。

A:被疑者国選弁護制度というものがありますので、それについて紹介します。
 以前は、国選弁護人は被疑者の起訴以降しかつきませんでしたが(「被告人国選弁護人」と呼びます。)、
平成18年以降、一定の犯罪については、起訴前の段階から国選弁護人をつけることを請求できるようになりました(「被疑者国選弁護人」と呼びます。)。
 この制度ができた当初は、殺人、傷害致死、強姦、強盗など一定の重大犯罪に限り、被疑者国選弁護人をつけることができました。
その後、ほかの犯罪についても被疑者国選弁護人をつけられるようにすべきとの声が高まり、暴行、器物損壊、住居侵入など一定の軽微な犯罪を除き、被疑者国選弁護人をつけられることになりました。
 裁判員制度が始まる今年5月21日以降は、傷害、窃盗、業務上過失致死、詐欺、恐喝など多くの犯罪について被疑者国選弁護人をつけることができます。
 これらの犯罪については、被疑者に弁護士を雇う資力がない場合、拘置(逮捕に引き続いてなされる身体拘束。刑事訴訟法では勾留といいます)後に請求すれば、被疑者国選弁護人がつきます。
資力がないというのは、持っている現金や預金等の財産が50万円未満であるという意味です。
 ただし、被疑者国選弁護人は勾留後しかつきませんので、逮捕されてもすぐには国選弁護人をつけるように請求することはできません。
また、被疑者が請求しないと被疑者国選弁護人はつきません。
 弟さんは傷害容疑で逮捕されたということですので、現金や預金などの財産が50万円未満であれば、拘置後に請求すれば被疑者国選弁護人をつけることができます。
被害者との示談交渉については、被疑者国選弁護人に依頼すればよいでしょう。