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くらしの法律相談(2008年-2016年)

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2009年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

夫と離婚する-養育費など公正証書に明記 神戸新聞 2009年9月29日掲載

執筆者:酒井 浩弁護士

Q:近々、夫と離婚する予定です。
知人に相談すると、養育費などの約束について、公正証書を作っておいたほうがよいと言われました。
どのような利点があるのでしょうか。

A:公正証書とは、公証人という法律の専門家が、契約の成立や、一定の事実関係などについて、公に証明するために作成する文書のことをいいます。
 離婚の際、養育費など金銭面の事柄についてもいろいろと取り決めをすることになりますが、このとき、養育費の支払い約束について公正証書を作成しておくと、次のようなメリットがあります。
 まず、相手が養育費を支払わなくなってしまったときに、強制的に相手の財産から支払わせることができます。
たとえば、相手の給料を差し押さえたり、相手の財産を競売にかけたりして、そこから養育費に相当するお金を回収することができるのです。
このように、相手が支払義務のあるお金を支払わない場合に、相手の財産から強制的にそのお金を回収することを、強制執行といいます。
通常は、強制執行をするためには、裁判をして、勝訴判決をもらう必要があるのですが、公正証書があれば、裁判をしなくても、強制執行をすることができるのです。
 また、養育費の支払について公正証書を作っておけば、相手は自分の財産から強制的に回収されることを恐れ、自分から支払うということも期待できます。
 このように、公正証書には、相手が養育費を支払わない場合に、強制的に相手の財産からお金を回収できる、また、相手が強制執行を恐れて、自分から支払うことが期待できる、という大きなメリットがあるのです。
 また、万が一公正証書を紛失してしまった場合でも、公正証書は、公証役場で長期間保管していますから、この点でも安心です。
 公正証書には、これまで述べたような大きなメリットがあります。
離婚後の養育費の支払いは、ご家族の生活を支える大切なものですから、確実に支払いが受けられるように、
その内容について公正証書を作成されておくことが有益です。