意見表明

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旧優生保護法裁判・東京高裁判決を踏まえ、被害者の全面的救済を求める会長談話

2022年(令和4年)3月11日
兵庫県弁護士会
会 長  津 久 井 進

 

 本日、東京高等裁判所が言い渡した判決は、被害者救済に向けた決定的な論理を示す画期的なものでした。
 この裁判は、旧優生保護法の下で不妊手術を強制された被害者が、国に対して賠償を求めたものですが、東京高等裁判所は、大阪高等裁判所に続き、第一審の判決を覆し、国に対し賠償を命じる逆転の判決を言い渡しました。

 同種裁判における地裁の判決は、すべて20年の除斥期間を形式的に適用して被害者の請求を退けてきました。
 しかし、本日の判決は、旧優生保護法による被害の実態を直視し、強度の人権侵害により二重、三重にも及ぶ苦痛を与えてきたこと、国は障害者等に対する差別・偏見を正当化し浸透させたこと、憲法違反の施策によって生じた被害に対し憲法17条に基づいて救済を求めている訴訟で憲法の下位規範である民法を無条件に適用するのは慎重であるべきこと、国が被害者に対して被害に関する情報整備を行ってこなかったこと等をもって、除斥期間を適用することは著しく正義・公平の理念に反すると判断しました。

 東京高等裁判所の判決は、現在、全国の被害者の被害回復の道が大きく開かれる救済される枠組みを示したと評価できるものです。
 しかし、裁判に取り組んでいる兵庫県在住の被害者は「判決が出ても、そこで終わりということではありません。障害を持っている人が普通に、当たり前に暮らせるような社会を作っていかなければならないと思います。このような判決があった今日と昨日とで私の考えは変わっていません。」と話しています。
 当会は国に対し、今日の判決を真摯に受け止め、全面的な解決に向けて舵を切って、長年にわたって苦しめられてきたすべての被害者に一刻も早く謝罪し、賠償をしていただくよう強く望みます。

 当会としても、誰もが人間としての尊厳を保ちながら、一人ひとりが大事にされる差別のない社会の実現を目指し、ありとあらゆる努力を重ねていく所存です。

以上

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