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憲法記念日にあたっての会長談話

2024年(令和6年)5月3日
兵庫県弁護士会
会 長  中 川 勘 太

 

 市民のみなさまへ

 今日は、日本国憲法が施行77年目を迎える憲法記念日です。私たち市民が憲法の意味、憲法が何のために制定されたかを考える絶好の機会です。

 終戦後施行された日本国憲法は、国民主権を宣言し、多数派・少数派を問わず、すべての人々が個人として尊重されることを大切な価値観として位置付け、基本的人権尊重、平和主義を原則として、権力の集中による暴走を回避するために三権分立を定めました。立憲主義の下では、これらは、多数派の意思が優先されがちな法律によっても侵すことができない国の権力の限界を定めたものとなります。

 また、前文においては、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とも謳いあげました。

 しかしながら翻って最近の世界情勢に鑑みるとき、2020年に始まったコロナ禍では、世界中で感染拡大の恐怖、医療体制の逼迫、ワクチン接種の遅れ、風評による差別、生活困窮、孤立など様々な問題が深刻化しました。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、停戦への道筋が見えてこないまま、今も毎日、死者数が増えていくことが報じられています。さらに、2023年10月以降、イスラエルが、パレスチナ自治区ガザ地区への空爆を激化させ、ガザ地区の人道危機は日ごとに深刻さを増しています。

 国内に目を転じれば、2022年12月16日には安保3文書が閣議決定されていますが、そのうちの国家安全保障戦略では、「本戦略に基づく戦略的な指針と施策は、戦後の安全保障政策を実践面から大きく転換」するものとされています。また、日本の安全保障や大災害の懸念などを理由とする緊急事態時における国会議員の任期延長規定創設や憲法9条の改正など、私たちの身の回りでもたくさんの問題が目につきます。

 大切なのは、私たちが、これらの憲法の問題を自分たちの国のあり方にかかわる自分たち自身の問題としてよく考えること、そして、自分と違う立場や考え方があることを理解し互いに尊重し合いつつも、今後の方向性を議論していくことだと思います。時代の変化によっても変えるべきでないものが何であり、変えるべきもの、変えてもよいものは何なのかを、私たち一人ひとりがその場の「空気」に流されるのではなく、しっかり考えた上で、冷静に議論を行い、結論を出していくべきだと考えます。

 兵庫県弁護士会は、個人が尊重される社会の実現を希求する一員として、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士法に定められた使命を達成するべく、今後とも、あらゆる人々が個人として尊重される世の中を目指した活動や提言に真摯に取り組んでまいります。

 

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