意見表明

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2026年憲法記念日会長談話

2026年(令和8年)5月3日
兵庫県弁護士会
会長 村 上 英 樹

市民の皆様へ

 本日は、日本国憲法の施行から79年を迎える日となります。

 日本国憲法は、意見や価値観の違いを超えて、すべての人々が個人として最大限に尊重されることを出発点として、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を基本原理として制定されています。そして、これらは、多数派の意思のみを優先させるのではなく、すべての人々を尊重すべく国家権力の限界を定めています。

 前文においても、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とされており、全世界の市民の平和を願うべく、日本国憲法は謳っています。

 昨今の世界情勢を顧みるに、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻から4年以上が経過しても、未だに両国における大勢の市民が犠牲になっています。また、今年になってアメリカがベネズエラに軍事侵攻するなど、外交によらず軍事によって解決しようとする動きが見られます。特に、アメリカとイスラエルがイランに対して軍事行動を開始する中で、大勢の市民が突如として命を落とすといった出来事が今もなお発生しています。

 国内においても、長距離ミサイルといった殺傷能力のある武器が地方へ配備されるといった動きや、いわゆるスパイ防止法案や国旗損壊罪法案の議論など、憲法に関わる問題が多く目に付きます。

 一方、そうした中で、紛争状態にあるホルムズ海峡への自衛隊の派兵の要請につき、日本側がそれを断ったという出来事もあり、これはまさしく憲法9条の平和主義が外交において効果を発揮したといえるでしょう。さらに、日本各地でも、イランを巡る武力行使を止めるために、国際的に広がっている国際法遵守を求める市民と連帯して、思想信条の違いを超えて多くの市民が行動を起こしていることは、憲法の理念を実現するための取り組みとして大変勇気づけられます。

 こうした問題を考えるうえで大切なことは、やはり主義主張の違いを受け入れて認めつつ冷静に問題意識を持って対話を重ねることではないかと考えます。実際に、戦後日本においても憲法改正を巡っては様々な議論がなされてきました。そうした意見の違いを乗り越えて対話を重ねることなく、対立を深めるばかりでは、安心して平和に暮らせる世の中を護り続けることは難しいのではないでしょうか。

 兵庫県弁護士会は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士に求められる使命のもと、今後とも、全ての人が個人として尊重される、誰一人として見捨てられない社会を目指すべく活動、提言に取り組むとともに、憲法をはじめあらゆる法律問題及び社会問題に関して、有益な議論の契機となるような情報提供や学習会にも真摯に取り組んでまいります。

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