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2019年

元夫が再婚、養育費の減額に応じる必要あるか-直ちに応じる義務はない-

 神戸新聞2019年9月4日掲載
執筆者:城戸 直樹弁護士

 私は5年ほど前に離婚しました。9歳の一人息子がおり現在、月9万円の養育費を受け取っています。先日、元夫から、再婚したので養育費を減額したいと申し入れがありましたが、応じる必要があるのでしょうか。

 元夫からの減額の申し入れに直ちに応じる義務はありませんが、元夫が家庭裁判所に対して養育費減額の調停、審判を申し立てた場合は、最終的に養育費の金額が月9万円よりいくらか減額されてしまう可能性があります。

 民法880条によれば、家庭裁判所は、「事情に変更を生じたとき」には、養育費の減額をすることができます。元夫が再婚した場合は、義務者である元夫が扶養する家族に変化をもたらすものであるため、基本的には「事情に変更を生じたとき」に当たるとされています。そのため、元夫が家庭裁判所に対して、養育費減額の調停、審判を申し立てた場合は、養育費が減額されてしまう事態が想定されます。

 もっとも、養育費9万円について、養育費の金額を合意した際に当事者が近く再婚することを想定して決めていたような場合や、合意後再婚までの期間が1年以内であるような事情が存在すれば、合意時の予想の範囲内であるとか、減額請求が信義に反するなどとして、「事情に変更を生じたとき」に当たらないと主張することも考えられます。

 また、適正な養育費の金額は、さまざまな事情を考慮して判断されますので、必ず一定額が減額されるとも限りません。あくまでケース・バイ・ケースの判断となりますが、元夫に多額の収入があることなどから養育費の減額は相当でないと判断された事例もあります。

 さらに、養育費の金額が変更される時期は、元夫が養育費の減額の請求をしたとき(具体的には養育費減額調停の申立時)とされることが多いです。従って、元夫が養育費減額調停などを申し立てるまで申し入れに応じないというのも、一つの方策として考えることができます。

 以上より、元夫の養育費減額の申し入れに対し、直ちに応じる必要があるとまではいえないでしょう。

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