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2023年

コンビニで釣り銭を多く受け取った-気づいて未返金なら犯罪に

 神戸新聞2023年3月15日掲載
執筆者:小笠原 博 弁護士

 コンビニで5千円札を店員に渡したところ、 店員が1万円札と間違えたらしく、 お釣りを多く受け取ってしまいました。 友人には犯罪になると言われています。どうしたらいいでしょうか。

 お釣りを間違えた店員から多くのお釣りを受け取ったケースは、釣り銭詐欺と呼ばれます。

 刑法は、人を欺いて財物を交付させた場合に詐欺罪が成立すると定めています。人を欺くためには、うそをつくなど何かを「する」ことが一般的ですが、何かをしなければならない義務(作為義務)を負う場合には、期待された行為を「しない」ことも人を欺く行為 と評価されます(不作為による詐欺)。

 裁判例には、保険契約の際に疾病を告知しなかった場合に不作為による詐欺を認めたものなどがあります。

 客にはお釣りが多いことを告知しなければならない信義則上の義務があると考えられています。そのため、「お釣りが多いことに気づいていたのに店員に告げなかった」場合には、告知義務に違反して人を欺いたと評価され、詐欺罪が成立します。

 もちろん、お釣りが多いことに気づいていなかった場合には、告知義務違反にはなりませんので、詐欺罪は成立しません。しかし、後で気づいたにもかかわらず、あえてお店に返金しない場合には、遺失物等横領罪が成立することになります。

 詐欺罪に間われると、10年以下の懲役に処せられる可能性があり、遺失物等横領罪では1年以下の懲役、または10万円以下の罰金もしくは科料に処せられる可能性があります。

 今回のケースで、詐欺罪あるいは遺失物等横領罪として実際に摘発されるのかどうかについては、一概には言えませんが、コンビニには多数の防犯カメラが設置されていることもあり、警察に被害届が提出されることになれば、摘発される可能性は否定できません。 そうならないためにも、できるだけ早く、おわびと返金をするべきです。

 また、今回のケースで、逮捕される可能性は高くないと考えられますが、もし逮捕されてしまった場合には、無料で1回、弁護士を呼んで相談することができる弁護士会の「当番弁護士制度」がありますので、できるだけ早く、警察官管や検察官、裁判官に「当番弁護士を呼んで」と伝えましょう。

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