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夫の不倫相手に損害賠償請求できるか-婚姻関係破綻しているか判断-

 神戸新聞2017年10月4日掲載
執筆者:和澤 晋平弁護士

 私は夫と 3年間別居していますが、月に1回程度、子どもを交えて会っており、離婚を考えていません。夫には他に付き合っている女性がいるようですが、この女性に対して損害賠償請求はできないでしょうか?

 不倫相手に対する損害賠償請求は、民法第709条に基づき認められる可能性があります。ただ、現在の最高裁判所の考え方では、婚姻関係が既に破綻している夫婦の一方の配偶者が不倫をした場合、他方の配偶者がその不倫相手に損害賠償を請求しても、請求は認められません(最高裁1996年3月26日第三小法廷判決)。

 婚姻関係が破綻している場合に、不倫相手に対する損害賠償が認められない理由は、既に破綻した婚姻関係には、不倫をされた方の配偶者に、法律上保護される利益の侵害がないと考えられるからです。従って、今回のケースでは、妻と夫の間の婚姻関係が破綻しているか否かが問題となります。

 婚姻関係が破綻しているかどうかを判断するには、別居の有無や期間、経緯、別居期間中の関係修復に向けた努力がなされていたかなどが重要です。もっとも、別居の経緯が単身赴任のためなど合理的な理由の場合には、婚姻関係の破綻はは認められにくいでしょう。

 配偶者とは心が離れており、いつ離婚してもよいが子どもがいるから離婚をしない。または経済的な理由で離婚をせず別居し続けるという人もいます。このように一方の配偶者が離婚をするつもりがないという主観的事情は、婚姻関係が破綻しているか否かを判断するにあたっては必ずしも重視されません。

 今回の相談内容に即して考えると、別居期間が3年であることは決して短いとは言えず、婚姻関係の破綻を肯定する要素と考えられます。妻と夫が子どもを交えて月に1回程度会っているという事情は、破綻を否定する要素となり得ます。

 しかし、妻が離婚するつもりはないという事情はさほど重視されません。他方、妻が夫と別居した理由、関係修復のためにどのようなやり取りがあったかは重要な要素です。妻と夫の間の婚姻関係が破綻していない場合には、夫と不倫相手との交際の程度により損害賠償を請求できる場合があります。

 

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