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2018年

妻の親と養子縁組したら-養親の氏を称し、新戸籍編製-

 神戸新聞2018年10月17日掲載
執筆者:須川 恵子弁護士

 私(田中)は、妻(上田)と結婚して、私も妻も「田中」 姓を名乗っています。今回、私が妻の親と養子縁組を結ぶことになりました。その場合、私や妻の氏はどうなるのでしょうか?

 「養子は、養親の氏を称する」と定められています(民法810条本文)。一方で、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」とも定められています(民法750条「夫婦同氏の原則」)。では、養子に配偶者がいる場合、どちらの氏を名乗ることになるのでしょうか。

 養子が婚姻の際に氏を改めていない場合(①)、養子は養親の氏を称し(民法810条本文)、新戸籍を編製します(戸籍法20条)。これにともなって配偶者も新たな戸籍に入り、養親の氏を名乗ることになります。

 一方、養子が婚姻の際に氏を改めた場合(②)、養子が婚姻の際に定めた氏を名乗っている間は、養親の氏を称することはありません(民法810条但書)。

 婚姻時に編製された戸籍に在籍したままで、身分事項欄に養子縁組をしたことが記載されます。つまり、養子となる者が筆頭者(戸籍の最初に記載されている人)かどうかによって取り扱いが異なるものの、夫婦が同じ氏を名乗って同じ戸籍に入るという原則は維持されます。

 今回のケースでは、夫婦は結婚したときに夫の「田中」姓を名乗ることを選択していますから、(①)のケースにあたります。夫が妻の親と養子縁組を結ぶことで、夫の氏は「田中」姓から「上田」姓になり、新しい戸籍が作られます。夫の養子縁組にともなって、妻も夫と同じ「上田」姓になり、夫と同じ戸籍に入ります。妻は旧姓に戻ることになりますが、妻が入るのはあくまで夫婦の新しい戸籍で、妻の親の戸籍に戻るわけではありません。

 なお、この夫婦に子どもがいる場合、夫が養子縁組をしても、子どもの氏は「田中」姓のままで、戸籍も夫婦の元の戸籍に入ったままです。そこで、子の氏を夫婦と同じ「上田」姓にし、子が夫婦の新しい戸籍に入るためには、入籍届を提出する必要があります(民法791条2項、戸籍法98条1項)。この場合、子の氏の変更についての家庭裁判所の許可は不要です。

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