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婚約破棄で慰謝料は請求できるのか-正当な理由かどうかで判断-

 神戸新聞2017年6月7日掲載
執筆者:阿波 友雄弁護士

 結婚相談所で知り合った男性と結婚の約束をし、相手の親にも会いました。半年ほど付き合い婚約指輪や式場の予約をしようとしていたところ、別れを告げられました。婚約破棄による慰謝料は請求できますか。

 婚姻届を提出して正式に結婚する前でも、将来結婚するという約束を交わした場合、つまり婚約をした場合には、これを破棄することで慰謝料が発生することがあります。

 とはいえ、交際中の男女が「結婚したいね」などと話していたからといって、必ずしも婚約の成立が認められるわけではありません。また、婚約が成立していたとしても、正当な理由により破棄するのであれば、慰謝料は発生しません。婚約破棄を理由に慰謝料を請求するためには、①婚約が成立したといえるだけの事情がある②婚約が正当な理由なく破棄されたと言える―という二つの点をクリアする必要があるのです。

 ①婚約の成立を示す事情としては、結納、婚約指輪の交換、結婚式場の予約などが典型的ですが、今回の事例のように、結婚相談所で知り合い、相手の親に挨拶をしていた場合であれば、婚約の成立が認められる可能性はあります。もっとも、実際に慰謝料を請求するのであれば、このような事情を証明する証拠がなければなりません。

 ②婚約の破棄が正当と認められる例としては、浮気、暴力、経済状況の悪化(失業)、重大な精神疾患の発症などがあります。逆に、性格の不一致、他に好きな異性ができた、親の反対にあった、特定の宗教の信仰をやめないなどの理由では婚約の破棄は正当とは認められません。今回の事例では、どのような理由で相手が別れを切り出したのか不明ですが、こちらの落ち度が別れの原因であれば、慰謝料の請求はできない可能性があります。もちろん、相手がこちらの浮気などを主張していても、それが証拠(例えば、浮気の現場写真)によって証明されなければ、慰謝料の請求は妨げられません。

 なお、婚約破棄による慰謝料の相場は、離婚による慰謝料の相場より低額で、数十万円から200万円程度となっています。ただし、慰謝料のほかに、結納金の返還や結婚式場のキャンセル料の支払いなどを請求できる場合があります。

 

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