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2022年

賃貸物件の連帯保証人、債務の範囲は-借り主が負う賠償責任すべて

 神戸新聞2022年2月16日掲載
執筆者:菊井 翼 弁護士

 賃貸物件の借り主の連帯保証人になりました。借り主が家賃を滞納した場合、家主が裁判を起こしても借り主が未払い家賃を支払わないときに、 私は未払い賃料だけを支払えばいいのですよね。

 連帯保証人は、借り主の未払い家賃だけを支払えばいいというわけではありません。連帯保証人は未払い家賃のほか、当該賃貸物件について借り主が家主に対して負っている損害賠償責任全てについて、同一の責任を負っています。また、家主が借り主を相手として裁判をしていなくても、連帯保証人に請求されることもあります。

 連帯保証人が保証する債務の範囲は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償などその債務に関する全てを含みます。つまり、未払い家賃だけでなく未払い家賃に基づく遅延損害金も支払わなければなりません。

 また、借り主の負っている債務は家賃の支払いだけでなく、賃貸借契約終了の際に、賃貸物件に生じた損傷(通常の使用が原因で生じた損傷や経年変化は除く)について原状回復する義務も負っています。

 すなわち、通常の経年劣化の範囲を超えるような壁紙の汚れや設備の破損はもちろん、借り主が残置物を残して行方不明になった場合はその撤去費用、借り主が部屋で孤独死していた場合は特殊清掃費用なども、連帯保証人が支払わなければならないことになります。

 ただし、連帯保証契約は書面でしなければ責任を負うことはありません。また、2020年4月1日以降に個人が連帯保証人となる場合は、連帯保証人が負う責任の上限を決めなければならないようになりました。この場合、上限額が定められている契約書で契約しなければ、その連帯保証契約は無効となり、連帯保証人として責任を負うことはありません。

 しかし、2020年3月31日以前から連帯保証人になっていた場合は、従前通り上限なく責任を負うことになります。

 もちろん、借り主の代わりに家主に支払った連帯保証人は、負担した金額を借り主に請求することができます。ただし、借り主にお金がなければ返してもらえないので、連帯保証人になる際には十分にご注意ください。

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