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2023年

認知症の親の財産管理をどうすれば-重度の場合、法定後見制度も

 神戸新聞2023年7月19日掲載
執筆者:村井 要自 弁護士

 認知症になった親の財産を管理する方法や、 管理する際に気をつけるべき点を教えてください。また、親が既に重度の認知症になっている場合、どのようにして管理していくことになるのかも教えてください。

 認知症と一言でいっても症状はさまざまです。家族のサポートがあれば1人暮らしができる軽度の方がおられる一方で、数分前に話したことさえ覚えていない重度の方もおられます。

 軽度であれば、親の同意の下で子が親の通帳を預かるなどして財産管理を行うケースが多いです。この場合、親が亡くなって相続が発生する段階で、他の相続人から使途不明金の存在を疑われ、親族の間でもめる事態がしばしば発生します。このような事態を避けるために、引き出した際にその目的を記録しておく必要があります。

 具体的には、引き出したらその場で通帳記帳を行い、引き出し金額の横に引き出した目的を記入しておくことをお勧めします。家電製品の購入など多額の引き出しを行う場合は、領収書をノートなどに貼り付けて保管しておきましょう。

 一方、認知症が重度の場合、法定後見制度の利用が考えられます。家庭裁判所が後見人を選んで、判断能力が不十分な人に代わって後見人が財産管理などを行うことを認めるものです。

 法定後見制度は、まず、子や兄弟などの親族が、家庭裁判所に後見人を選任するように申し立てます。親族が後見人となることを希望することもできます。ただ、裁判所は必ず希望者を後見人に選ぶわけではなく、事案に応じて弁護士や司法書士、社会福祉士を選ぶことがあります。また、家族が後見人となった場合でも、弁護士などの専門職を後見監督人に選任することが多いです。

 後見人は本人の希望を尊重しながら入所施設の利用料支払いなどの財産管理や、病院の入院契約、介護施設の契約を本人に代わって行います。また、後見人は毎年、裁判所に財産状況などを報告します。裁判所は報告書を見て横領などの違法行為や不適切な行動がないかチェックします。

 なお、後見人には原則として本人の財産から報酬を支払うことになりますが、裁判所が後見人の仕事ぶりや本人の財産の額などから報酬額を決めるので、本人の生活に支障が出るような額になることはありません。

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