神戸新聞2025年7月2日掲載
執筆者:稗田 崇宏 弁護士
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最近、「ステマ規制」というものが始まったと聞きました。ステマ規制とは何ですか?どんなことに気をつければ良いのでしょうか?
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2023年10月から、景品表示法に基づくステマ告示が制定され、ステマ規制が始まりました。ステマとは「ステルスマーケティング」の略で、広告(宣伝、販促目的の行為)であることを隠した広告のことです。
消費者は、広告と分かっていれば、その表示内容に誇張・誇大が含まれ得ると理解し、商品選択時に考慮に入れます。一方、ステマの場合、広告と認識できないので、表示内容をそのまま受け取ってしまい、自主的で合理的な商品選択ができなくなるリスクがあります。
このような問題点があるため、ステマが規制されました。違反すると、再発防止を求める措置命令を受けるとともに、その事実が消費者庁などのウェブサイトで公表されてしまいます。
ステマ規制に違反しないためには、広告と分かるようにする必要があります。そのため、表示内容が広告に該当するかを検討し、該当するなら広告と分かる表記をしましょう。
例えば、事業者の販売部門長が自身のSNS(交流サイト)アカウントで商品の宣伝をすることは、広告に該当します。事業者からインフルエンサーに依頼して、そのSNSアカウントで商品の宣伝をしてもらうことも、広告に当てはまります。従って、このような投稿には「#PR」などの表記をし、広告だと分かるようにしてください。もし「#PR」などの表記をしなかった場合、これらの投稿は広告だと分からないステマということになります。
また、事業者が顧客に口コミ投稿をお願いすることもあるでしょう。単なる口コミ投稿の依頼なら問題ありません。
しかし、「★4か★5で投稿を」「おいしかったと投稿して」などと、事業者が内容を指定して口コミ投稿を依頼した場合、その投稿は、広告に該当します。このため、「#PR」などの表記をする必要がありますが、口コミ投稿にそうした表記をすることは非現実的です。
口コミ投稿依頼時は、投稿内容を指定しないのが良いでしょう。