神戸新聞2025年9月3日掲載
執筆者:弓削 雄翼 弁護士
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中小企業を経営しています。金融機関からの借入金の返済負担が重く、資金繰りが厳しくなってきました。何か取るべき方法はないでしょうか。
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早期に「兵庫県中小企業活性化協議会」に相談することをご検討ください。
同協議会は、「中小企業の駆け込み寺」として、経営が悪化した中小企業など(個人事業主も対象)に支援を行っています。産業競争力強化法に基づき各都道府県に設置されている公正・中立な公的機関です。具体的な支援は次の3点などです。①まず、外部環境の影響を受け、今後収益力が低下する恐れのある事業者については、対象債権者に対して元金の返済猶予を要請した上、約1年間の経営改善計画の策定を行い、収益力の改善を目指す支援を行います(収益力改善支援)。
②次に、現に収益力が低下し、返済が困難となっている事業者については、対象債権者に対する元金の返済猶予要請を行った上、事業と財務を調査・分析し、当該分析の結果に応じて3~5年程度の弁済計画の策定支援を行います(再生支援)。
③さらに、事業の再生が困難な事業者については、廃業に関する法的問題に精通した弁護士を紹介するなどして、早期・円滑な廃業を目指した支援を行います(再チャレンジ支援)。
なお、元金の返済猶予要請の対象は、主に相談企業の取引金融機関で、一般の法人や個人などの債権者には、原則として、返済猶予を要請できません。
資金繰りが厳しくなった場合、同協議会に相談する前に、高利のカードローンの利用、代表者の個人資産の投入、代表者個人名義の借り入れ、家族や親族などからの借り入れを行うケースが散見されます。しかし、これらの方策によって金融機関以外からの借り入れが増えて返済困難になると、同協議会の支援を受けても事業の再建が難しくなる可能性もあります。
資金繰りが厳しくなった場合には、可能な限り早い段階で同協議会(電話:078-303-5852/相談は完全予約制)に相談し、支援が可能かどうか、あるいはいかなる支援が適しているかなどについて、助言を受けることをお勧めします。詳しくは同協議会のホームページをご覧ください。