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2026年

部活中に落雷で負傷 損害賠償や補償は? - 状況応じて請求できる可能性

 神戸新聞2026年3月18日掲載
執筆者:奥村草太郎 弁護士

 子どもが高校のサッカー部に入っています。万一、部活中に落雷事故で負傷した場合、学校側に対する損害賠償請求は認められるのでしょうか。また、裁判などの法的手続きを取らずに補償を受けることはできるのでしょうか。

 事故当時の状況などによっては、損害賠償請求が認められる可能性があります。

 学校は生徒に対し、安全配慮義務(教育活動及(およ)びそれと密接に関連する課外活動により生じるおそれのある危険から生徒を保護する義務)を負っているとされています。学校側が事故発生の危険を予見し、事故発生の結果を回避することができたにもかかわらず、生徒に適切な指示を行わなかった場合、学校側は安全配慮義務を怠ったとして、訴訟(裁判)などで賠償責任が認められることになります。

 サッカー部の部活中の落雷事故について学校側の賠償責任が判断された具体例として、最高裁判所の2006年3月13日の判決は、「試合の開始直前の頃には、南西方向の上空に黒く固まった暗雲が立ち込めていたこと」「雷鳴が聞こえていたこと」「雲の間で放電が起きるのが目撃されていたこと」から、教員は落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能で、予見すべき注意義務を怠ったとしています。

 日本サッカー協会は、練習や試合を問わずサッカーの競技中に、周辺で落雷の兆候がある場合は活動を30分停止するなどの落雷事故防止対策を定めています。この定めに違反している場合は注意義務を怠ったと判断されやすいでしょう。

 なお、学校が国公立か私立かによって、適用される法律が異なります。国公立の場合は国家賠償法、私立の場合は民法が適用されます。それぞれ、損害賠償の請求先も異なります。

 また、裁判で請求する前に、多くの場合、日本スポーツ振興センターから治療費などが支払われます。同センターは、児童生徒などが学校の管理下において災害(負傷・疾病・障害・死亡)に遭ったとき、申請に応じて災害共済給付金を支給しています。子どもが学校などで負傷したケースでは、まずはこの制度を利用した上で、災害共済給付金によって補償されない損害について学校側に賠償を求めることになるでしょう。