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2026年

亡き母名義の山林 どう処分すれば? - 相続財産全体の価値、把握を

 神戸新聞2026年4月15日掲載
執筆者:野間 裕加 弁護士

 私は結婚して神戸で暮らしています。先日、田舎の実家で1人暮らしをしていた母が亡くなりました。遺産には、母名義の山林もあります。私以外に相続する人はおらず、山林を処分したいのですが、良い方法はないでしょうか。

 田舎の山林は一般的に市場価値が乏しく、資産としての評価はほとんど期待できません。立木の価値や立地条件によっては例外もありますが、需要が極めて限定的で、都市部の不動産と同様に売却できるものではなく、通常の方法での換価は困難です。仲介業者に依頼しても買い手が現れないケースが多く、長期間売却できないまま管理だけが続くことも想定されます。

 処分の方法として、地方公共団体などへの寄付や、国の「相続土地国庫帰属制度」の利用も考えられますが、いずれも受け入れ基準や要件が厳しく、現実的な処分手段とは言い難いものです。結局、山林の処分は法律による解決より、地縁関係などを通じて買主や引受人を見つけられるか-に大きく左右されるでしょう。このように、山林のみを処分する良い方法は無いと言わざるを得ません。

 山林は維持管理が必要で、相応の手間や費用をかける必要があります。維持管理を行わなかった結果、倒木や土砂崩れなどの被害が生じた場合、所有者として損害賠償責任を負う可能性があります。このような相続後の経済的負担を踏まえ、相続するかどうかの判断は、山林だけを考えるのではなく、相続財産全体の価値を把握することが重要です。山林のみの処分が困難な場合は、他の財産を含めた相続放棄も視野に入れることを提案します。なお相続放棄には期限があるため(相続の開始を知った時から3カ月)、注意してください。

 山林だけでなく、田舎の不動産は処分することが困難なことが多く、できれば生前から山林など価値の低い不動産の処分を進めておくことが望ましいでしょう。地縁(共有者や隣地の所有者も含めて)による処分の可能性も一定程度はあるからです。問題が次世代へと先送りされると、相続人が複数になり、権利関係が複雑化し、相続人がさらに増加していく可能性もあります。従って、山林を含めた田舎の不動産に関する処分の問題はできる限り、存命の間に解決しておくことが重要でしょう。